“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の要諦再読―エピローグ―

“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の
要諦再読 ―エピローグ―

・夜明けの歌
・連載「要諦再読」
(全31回)の終了にあたって
・≪目次一覧≫
――連載「要諦再読」(全31回)

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要諦再読 ―エピローグ―
“夜明けの歌”
“連載「要諦再読」の終了にあたって”
“≪目次一覧≫”
(PDF:468KB、A4用紙9枚分)

プレアデス星団・すばる

  夜明けの歌

生あらばいつの日か
長い長い夜であった
星の見にくい夜ばかりであった、と
言い交わしうる日もあろうか・・・

  1945年1月29日、友への手紙にこう綴ったわだつみの若き学徒松原成信(近江八幡市出身)は、
  一縷の望みを胸に灯しつつ、同年8月1日北京にて人知れず戦病死した。享年23歳。
  あまりにも短い生涯であった。

戦後さまざまな苦難の曲折を経ながらも
それでもなお国民が追求してやまなかったもの
それは、戦争の惨禍から学び獲得した
「平和主義」、「基本的人権(生存権を含む)の尊重」、「主権在民」の
三原則に貫かれた
世界に誇る
日本国憲法の理念を遵守する精神ではなかったのか。

  戦後78年を経た今日においても
  なおもこの遵守の精神が
  たとえ僅かであっても
  人々の心のどこかに生き続けている限り
  それは、あたかも自然界の
  天空と大地をめぐる水の循環の如く
  その一滴一滴が地層深く浸透し、地下水脈となり
  いつしか地表に湧水となってあらわれ
  大地を潤していく。
燦々と降り注ぐ
太陽の光をいっぱいに浴び
豊かな土と水に
ゆっくりと育まれた植物は
やがて実を結び
生きとし生けるもの
すべての喜びを祝福する
大きなエネルギーに転換される。
  私たちも同じであろう。
  先を焦らず
  ゆっくり、しかも時間をかけて
  地力を養い蓄積された
  いのちのエネルギーは
  醜い欺瞞と反動の闇夜を引き裂き
  根源から時代を問い直す
  新生「菜園家族」日本の幕開けを告げる黎明となる。
この夢は、せめて人々の心の中に
いつまでも生き続けてほしい。
  いや、それどころではない。
  この夢こそが
  この国の
  そして東アジアと
  世界のすべての人々に
  勇気と希望を
  生きる喜びを
  いつまでも与え続けていくであろう。
この小さな
幸せ祈る
私たちの心を
きっと
おぼえておいておくれ
地平を開く
夜明けの歌よ。

日本戦没学生記念会 編『新版 きけ わだつみのこえ ―日本戦没学生の手記』(岩波文庫、1995年)より。

連載「要諦再読」(全31回)の終了にあたって

 “シリーズ21世紀の未来社会”の「要諦再読」(全31回)の連載終了にあたって、その≪目次一覧≫を掲載します。
 一目してこの連載の全体像をもう一度、思い起こし、“生命系の未来社会論”具現化の道としての「菜園家族」社会構想を再吟味していただければ幸いです。
 今後、この連載を叩き台にして、さらに議論が深まっていけばと思っています。
 長きにわたる混迷と苦悶、挫折の時代。
 多くの人々によるこうした議論が、堅く閉ざされた未来への扉を開く、ささやかなきっかけになればと心から願っています。
 以下に、「要諦再読」各回のテーマとリンクを掲載します。どうぞご利用下さい。

≪目次一覧≫ ――連載「要諦再読」(全31回)

要諦再読 ―スタートにあたって―
民衆の生活世界を築く
―腐り切ったわが国の「政治」を超えて―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2129

要諦再読 ―その1―
「家族」評価の歴史的経緯をめぐって
https://www.satoken-nomad.com/archives/2152

要諦再読 ―その2―
「家族」と人間、その歴史的奇跡の淵源
https://www.satoken-nomad.com/archives/2171

要諦再読 ―その3―
「家族」の衰退と社会の根源的危機
―「道具」の発達と連動して―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2190

要諦再読 ―その4―
特異な発達を遂げたヒトの脳髄
―“諸刃の剣”とも言うべきその宿命―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2202

要諦再読 ―その5―
資本の自己増殖運動と麻痺する「共感能力」
―人間欲望の際限なき拡大―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2220

要諦再読 ―その6―
人間の「共感能力」の復権と非戦・平和の礎
―地域に築く抗市場免疫のライフスタイル―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2239

要諦再読 ―その7―
記憶に甦る「菜園家族の世界」
―21世紀生命系の未来社会の原形―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2255

要諦再読 ―その8―
家族に甦るものづくりの心、ものづくりの技
https://www.satoken-nomad.com/archives/2278

要諦再読 ―その9―
「菜園家族」が衰退しきった人間の「共感能力」を現代に甦らせる
https://www.satoken-nomad.com/archives/2288

要諦再読 ―その10―
戦争の本質は民衆同士の殺し合いである
―どんな理由があろうとも
 戦争は人間冒涜の究極の大罪であり
 国権を発動し戦争を画策、加担した為政者は
 すべて厳罰を免れ得ない―

https://www.satoken-nomad.com/archives/2299

要諦再読 ―その11―
わが国社会の構造的破綻の自覚から
https://www.satoken-nomad.com/archives/2309

要諦再読 ―その12―
「家族」と「地域」の再生を探る
―生命本位史観に立脚―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2321

要諦再読 ―その13―
機能不全に陥った近代経済学と末期重症の資本主義
https://www.satoken-nomad.com/archives/2333

要諦再読 ―その14―
人類の歴史を貫く民衆の根源的思想
―ヒトの原初的「共感能力」の発揚―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2353

要諦再読 ―その15―
今こそ近代のパラダイムを転換する
―21世紀の未来社会論構築のために―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2366

要諦再読 ―その16―
19世紀未来社会論のアウフヘーベン
―自然と人間社会の全一体的検証による―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2378

要諦再読 ―その17―
生命系の未来社会論具現化の道 <1>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「菜園家族」社会構想の基礎

1 21世紀の「菜園家族」社会構想
  ―「地域生態学」的理念とその方法を基軸に―
2 「菜園家族」社会構想の理念とその歴史的意義
3 週休(2+α)日制の「菜園家族」型ワークシェアリング
4 世界に類例を見ないCFP複合社会 ―史上はじめての試み―
5 森と海を結ぶ流域地域圏(エリア) ―「菜園家族」を育むゆりかご―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2387

要諦再読 ―その18―
生命系の未来社会論具現化の道 <2>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
草の根民主主義熟成の土壌
―「なりわいとも」の展開と地方自治体の再生―

1 地域協同組織体「なりわいとも」の生成・展開
  ―「地域生態学」的アプローチ―
2 「菜園家族」創出を促す具体的地域政策
https://www.satoken-nomad.com/archives/2406

要諦再読 ―その19―
生命系の未来社会論具現化の道 <3>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「匠商(しょうしょう)家族」と地方中核都市の形成
―都市と農村の共進化―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2419

要諦再読 ―その20―
生命系の未来社会論具現化の道 <4>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
労働運動に「菜園家族」の新しい風を
―労農一体的人格融合による
 人間の新たな社会的生存形態創出の時代へ―

1 21世紀の労働運動と私たち自身のライフスタイル
2 政治の凄まじい腐敗と大学の荒廃
  ―“大阪大学非常勤講師大量雇い止め”の真相―
3 家族小経営の歴史性と生命力
  ―CFP複合社会展開の鍵を握るセクターFとその未来―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2434

要諦再読 ―その21―
生命系の未来社会論具現化の道 <5>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
世界的複合危機の時代を生きる ①
―避けては通れない社会システムの根源的大転換―

――CO排出量削減の営為が即、古い社会(資本主義)自体の胎内で
  次代の新しい芽(「菜園家族」)の創出・育成へと自動的に連動する
  CSSK社会メカニズムの提起――

1 気候変動とパンデミック、そしてウクライナ戦争は、
  果たして人間社会の進化にとってまことの試練となり得るのか
2 今日までに到達した気候変動に関する世界の科学的知見から
3 今日の地球温暖化対策の限界と
  いよいよ避けては通れない社会システムの根源的大転換
4 国際的目標2050年カーボンニュートラル実現完遂への具体的提案
  ―CO排出量削減と社会システムの根源的変革の統一のもと―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2463

要諦再読 ―その22―
生命系の未来社会論具現化の道 <6>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
世界的複合危機の時代を生きる ②
―避けては通れない社会システムの根源的大転換―

――CO排出量削減の営為が即、古い社会(資本主義)自体の胎内で
  次代の新しい芽(「菜園家族」)の創出・育成へと自動的に連動する
  CSSK社会メカニズムの提起――

5 CSSK特定財源による彩り豊かな国土と民衆の生活世界の再生
6 CSSKメカニズムに秘められた近代超克の意外にも高次のポテンシャル
7 パンデミックによって露わになったこの国社会の構造的矛盾
8 CSSKメカニズムの円滑かつ着実な駆動が21世紀の新しい時代を創る
9 21世紀、広範な国民運動の新たな土台となる「菜園家族」じねんネットワーク
https://www.satoken-nomad.com/archives/2485

要諦再読 ―その23―
生命系の未来社会論具現化の道 <7>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「菜園家族」を土台に築く近代超克の円熟した先進福祉大国 ①
―高次の新たな社会保障制度を探る―

1 原理レベルから考える「自助、共助、公助」
2 「家族」に固有の機能の喪失とこの国破綻の根源的原因
3 「家族」に固有の福祉機能の復活と「菜園家族」を土台に築く高次社会保障制度
https://www.satoken-nomad.com/archives/2499

要諦再読 ―その24―
生命系の未来社会論具現化の道 <8>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「菜園家族」を土台に築く近代超克の円熟した先進福祉大国 ②
―高次の新たな社会保障制度を探る―

4 近代超克の円熟した先進福祉大国への可能性
5 円熟した先進福祉大国をめざす新たな国民運動形成の素地
6 「お任せ民主主義」を排し、何よりも自らの主体性の確立を
  ―そこにこそ生きる喜びがある―
https://www.satoken-nomad.com/archives/2509

要諦再読 ―その25―
生命系の未来社会論具現化の道 <9>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「菜園家族的平和主義」の構築 ①
―いのちの思想を現実の世界へ―

1 いのち軽視、いのち侮辱の「戦争俗論」の跳梁跋扈を憂える
  ―卑劣な企み「マッチポンプ」の繰り返し―
2 今断罪されるべきは、権力的為政者の姑息な解釈改憲による
  長きにわたる既成事実の積み重ねそのものである
https://www.satoken-nomad.com/archives/2537

要諦再読 ―その26―
生命系の未来社会論具現化の道 <10>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「菜園家族的平和主義」の構築 ②
―いのちの思想を現実の世界へ―

3 非同盟・中立の自然循環型共生の暮らしと平和の国づくり
https://www.satoken-nomad.com/archives/2554

要諦再読 ―その27―
生命系の未来社会論具現化の道 <11>
―自然界の生命進化の奥深い秩序に連動し、展開―
「菜園家族的平和主義」の構築 ③
―いのちの思想を現実の世界へ―

4 東アジア世界を視座に未来へ
https://www.satoken-nomad.com/archives/2563

要諦再読 ―その28―
連載「要諦再読」の概括にかえて ①
高次自然社会への道

19世紀未来社会論のアウフヘーベン
止揚・熟成・・・そして根源からの大転換
 「菜園家族」基調のCFP複合社会を経て
 人間復活の高次自然社会へ
世界に誇る日本国憲法具現化の究極の道

1 CFP複合社会から自然循環型共生社会(FP複合社会)を経て高次自然社会へ
2 人類史を貫く「否定の否定」の弁証法
3 混迷の時代だからこそ見失ってはならない未来社会への展望
https://www.satoken-nomad.com/archives/2592

要諦再読 ―その29―
連載「要諦再読」の概括にかえて ②
夜明けを告げる伝統と革新の「東アジア世界」
――今やわが国のみならず、東アジアの民衆にとって
  自己の主体性の確立は、避けては通れない共通の急務――

1 東アジアの民衆にとって決して避けては通れない共通の課題
2 日本国憲法のもとではじめて甦る「未発の可能性」としての小国主義
3 世界に誇る日本国憲法の理念こそ、東アジア民衆連帯の要(かなめ)
https://www.satoken-nomad.com/archives/2614

要諦再読 ―エピローグ―
・夜明けの歌
・連載「要諦再読」(全31回)の終了にあたって
・≪目次一覧≫ ――連載「要諦再読」(全31回)
https://www.satoken-nomad.com/archives/2636

       ――― ◇ ◇ ―――

2023年9月19日
里山研究庵Nomad
小貫雅男・伊藤恵子

「要諦再読 ―エピローグ―」の引用・参考文献
日本戦没学生記念会 編『新版 きけ わだつみのこえ ―日本戦没学生の手記』岩波文庫、1995年
同会 編『新版 第二集 きけ わだつみのこえ ―日本戦没学生の手記』岩波文庫、2003年
童話屋編集部 編『復刊 あたらしい憲法のはなし』童話屋、2001年(1947年に文部省が発行した中学校1年生用の社会科の教科書を復刻したもの)

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