まもなくスタート! 新企画連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」

まもなくスタート!
新企画連載
希望の明日へ
―個別具体の中のリアルな真実―

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まもなくスタート! 新企画連載
「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」
(PDF:422KB、A4用紙5枚分)

沈む夕日と青空

 本年2023年2月6日以来、9月19日までの7ヵ月半にわたって、里山研究庵Nomadホームページに連載した「要諦再読」(全31回)では、いわば資本主義超克の“生命系の未来社会論”について、さまざまな角度から縷々、述べてきたところです。
 その全体像を概括するならば、末尾に掲げる“概括とそのエッセンス”に尽きると言ってもいいのではないでしょうか。

 この“概括とそのエッセンス”を念頭に、もう一度「要諦再読」(全31回)を吟味しつつ、21世紀“生命系の未来社会論”の真髄をしっかりつかみ取り、次へとつなげていきたいものです。
 混迷と閉塞の時代、希望の明日へ向かって、多くの方々との共通認識、そして共通の課題意識の上に立って、議論が進むことを切に願っています。

 まもなく11月初旬から当ホームページで、新企画「希望の明日へ ―個別具体の中のリアルな真実―」の連載をスタートします。
 折しも「食料・農業・農村基本法」の改正案が取り沙汰されている今、わが国歴代政権の改革、なかんずく「農業」、「農山漁村」をめぐる政策が、如何に行き当たりばったりのその場凌ぎで、理念なきいい加減なものであるかに、今更のように唖然とさせられます。

 今回の新企画連載では、2001年以来、琵琶湖畔鈴鹿山中にこの里山研究庵という拠点を定め、続けてきた調査・研究の原点に立ち返り、今から15年前に出版した拙著『菜園家族21 ―分かちあいの世界へ―』(コモンズ、2008年)を原典に、今一度、身近な個別・具体的な「地域」の実情を再確認していきたいと思います。
 こうすることによって、その後15年間のわが国の恐るべき急激な変貌の姿が浮き彫りになるとともに、地域に芽生えつつあった再生へのささやかな可能性も、それを阻み、圧し潰してきた本当の障害が何であったのか、そして何であるのかも、自ずから明らかになってくるのではないでしょうか。
 この新企画連載が、瀬戸際まで追い詰められた現状から“希望の明日へ”向かって、今、私たちに何が大切なのかをみなさんとともに考えていく糸口になればと願っています。

 「要諦再読」(全31回)の“概括とそのエッセンス”は、これからはじまる新企画連載「希望の明日へ ―個別具体の中のリアルな真実―」を読み進めていく上でも、あらためてしっかりおさえておきたいものです。

「要諦再読」(全31回)の“概括とそのエッセンス”

 資本主義超克の“生命系の未来社会論”
 ――分断と対立から
   高次再融合の自然社会へ――
 大地に根ざした
 素朴で精神性豊かな
 民衆の生活世界の構築。

21世紀における
資本主義超克の
人間復活のレボリューション。
 根なし草同然の賃金労働者と
 生産手段との「再結合」による
 抗市場免疫の「菜園家族」を基軸に展開する
 民衆の生活世界の構築。
  菜園家族レボリューション。

広大無窮の自然界を母胎に
自然界の生成・進化を貫く
「適応・調整」の原理(=「自己組織化」)※1 に則して
生成・進化を遂げてきた人間社会。

 人類始原におけるヒトの脳髄の異常な発達を契機に
 やがては「道具」の恐るべき飛躍的な発展に伴って
 自然界と人間社会両者を貫く
 生成・進化の普遍的原理から
 しだいに乖離していく。

その行き着く先
それは、人間社会が大自然界のただ中にありながら
あたかも悪性の癌細胞の如く
増殖と転移を限りなく繰り返し
人間どもの飽くなき欲望の赴くままに
生命の惑星、地球を丸ごと
容赦なく蝕み尽くしていく
宿命的とも言うべき結末なのだ。

 自然界と人間社会の生成・進化を律する
 原理レベルでのこの乖離を抑制し
 両者合一の普遍的原理に
 人間社会を限りなく再収斂させること。

この壮大な人類的課題に立ち向かう
「菜園家族」を基調とするCFP複合社会※2
長きにわたる展開過程。
それは、より高次の脱資本主義FP複合社会(自然循環型共生社会)を経て
人類悲願の高次自然社会への道を展望する。※3

 まさにこれこそが
 民衆の主体形成の確かな基盤創出にとって
 不可欠の全プロセスであり
 なかんずくその初動におけるCFP複合社会の生成過程は
 地域社会構造のさまざまなレベルにおける
 多重重層的アソシエーション※4 創出と
 生き生きとした人間発揚の舞台でもあるのだ。

長きにわたるこの全プロセスのわが国における具現化である
民衆主体の自律的“菜園家族レボリューション”こそが
貧困と格差と戦争のない
大地に根ざした
素朴で精神性豊かな
民衆の生活世界を築く。

 時代の大転換期にあって
 未来に対する傲慢と不安が錯綜する
 混迷の今日においては尚のこと
 宿命を背負った人間社会への
 この新たな問いかけが
抽象レベルでの概念操作を延々と繰り返し
訓詁学的手法の隘路に陥りがちな現状を
自ずから克服し
現実世界に広がる豊かな具体的事実からの
帰納を重視する
実証的研究の復権を促す。

 それはやがて
 18世紀イギリス産業革命の渦中から現れた
 19世紀未来社会論を止揚し
 新たな時代の要請に応えうる
 高次の21世紀未来社会論の構築を
 可能にするのではないか。
 まさにそれこそが“生命系の未来社会論”なのである。

わが国の今日の腐り切った「政治」の現実
民衆同士に殺し合いを強いる
超大国間覇権抗争のウクライナ戦争
折しも重なるかのように緊迫してきた中東情勢
報復の連鎖の背後にうごめく
超大国アメリカ巨大権力の影
危機迫る世界戦争の本質も
こうした21世紀“生命系の未来社会論”の
新たな世界認識の構築と鍛錬によって
より深く捉えることが可能になるのではないか。

 そして、何よりも今日の混沌と閉塞の中から
 めざすべき21世紀の未来像が
 より鮮明に浮かび上がってくるであろう。

(「要諦再読―スタートにあたって―」をベースに改編)

※1 「要諦再読―その15― 今こそ近代のパラダイムを転換する」https://www.satoken-nomad.com/archives/2366、および「要諦再読―その28― 高次自然社会への道」https://www.satoken-nomad.com/archives/2592の2節「人類史を貫く『否定の否定』の弁証法」を参照のこと。
 なかんずく「自己組織化」については、スチュアート・カウフマン 著、米沢登美子 監訳『自己組織化と進化の論理 ―宇宙を貫く複雑系の法則―』(日本経済新聞社、1999年)、原典Kauffman,Stuart “AT HOME IN THE UNIVERSE:The Search for Laws of Self-Organization and Complexity”,Oxford University Press,Inc.,1995を参照。

※2 資本主義セクターC(CapitalismのC)、家族小経営セクターF(FamilyのF)、公共的セクターP(PublicのP)の3つのセクターから成る「菜園家族」を基調とする複合社会。「要諦再読―その17―『菜園家族』社会構想の基礎」https://www.satoken-nomad.com/archives/2387を参照のこと。

※3 「要諦再読―その28― 高次自然社会への道」https://www.satoken-nomad.com/archives/2592を参照のこと。

※4 「要諦再読―その18― 草の根民主主義熟成の土壌」https://www.satoken-nomad.com/archives/2406の1節「地域協同組織体『なりわいとも』の生成・展開」、および「要諦再読―その19―『匠商家族』と地方中核都市の形成」https://www.satoken-nomad.com/archives/2419を参照のこと。

連載「要諦再読」(全31回)の≪目次一覧≫は、下記リンクのページをご覧ください。
https://www.satoken-nomad.com/archives/2636

       ――― ◇ ◇ ―――

新企画「希望の明日へ」は、11月初旬から連載をはじめます。
  引き続きお読みいただき、ともに考えていければと願っています。

2023年10月17日
里山研究庵Nomad
小貫雅男・伊藤恵子

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里山研究庵Nomad
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