長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第12章(その1)
長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―
第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―
第12章
「菜園家族」を土台に築く近代超克の先進福祉大国(その1)
―高次の新たな社会保障制度の探究―
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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第12章(その1)
(PDF:638KB、A4用紙9枚分)
本来、社会保障制度は社会的弱者に対してこそ、しっかりとした支えになるべきであるのに、わが国の現状はそうはなっていない。その実態は、あまりにも無慈悲で冷酷である。
しかも現行の制度は、不完全な上に、とりわけ年金、医療、介護、育児、教育は、なぜか財政破綻に瀕している。安心して生涯を全うできないのではないかという将来不安や不満が、常に国民の中に渦巻いている。
そもそも社会保障制度とは原理的に一体何であり、どうあるべきなのか。そもそも論から考えるためにも、大切なことなので、まずこのことをおさえることからはじめたい。
1.原理レベルから考える「自助、共助、公助」
今日私たちは残念ながら、人類が自然権の承認から出発し、数世紀にわたって鋭意かちとってきた、1848年のフランスにおける2月革命に象徴される理念、自由・平等・友愛の精神からは、はるかに遠いところにまで後退したと言わざるをえない。
不思議なことに、近年、特に為政者サイドからは、「自立と共生」とか、「自助、共助、公助」という言葉がとみに使われるようになってきた。
「自立と共生」とは、人類が長きにわたる苦難の歴史の末に到達した、重くて崇高な理念である自由・平等・友愛から導き出される概念であり、その凝縮され、集約された表現であると言ってもいい。
それは、人類の崇高な目標であるとともに、突き詰めていけば、そこには「個」と「共生」という二律背反のジレンマが常に内在していることに気づく。