
“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の要諦再読―その13―
“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の
◆要諦再読◆ ―その13
―
機能不全に陥った近代経済学と末期重症の資本主義
◆ こちらからダウンロードできます。
要諦再読 ―その13―
“機能不全に陥った近代経済学と末期重症の資本主義”
(PDF:571KB、A4用紙9枚分)
近代を超えて新たな地平へ
わが国は2011年3月11日、巨大地震と巨大津波、そして福島第一原発事故という未曾有の複合的苛酷災害に直面した。そして、地球温暖化による気候変動、「数十年に一度の」自然災害が日本列島のどこかで毎年のように頻発する異常気象、2020年新型コロナウイルス・パンデミック、さらには2022年2月24日にはじまるウクライナ戦争。これら一連の世界的複合危機は、巨大都市集中、エネルギー・資源浪費型の私たちの社会経済の脆さを露呈させた。
この近代文明終焉の分水嶺とも言うべき歴史の一大転換期に立たされた今なお、相も変わらず大方の評者、なかんずく主流派を自認する経済学者やエコノミストは、広く市井の人々を巻き込む形で、従来型の金融・財政上の経済指標や経済運営のあれこれの些細な操作手法に固執、埋没し、目先の利得に一喜一憂する実に狭隘な議論に終始している。
まさにこうした昨今の憂うべき時流にあって、マクロ経済学について門外漢である者としては軽率との誹りは免れようもないが、敢えて本論に入る前に、金子貞吉著『現代不況の実像とマネー経済』(新日本出版社、2013年)などを参照しつつ、自分なりに近代経済学の辿った歴史の展開過程とその性格を見極め、整理しておくことにした。このことによって同時に、アベノミクスなるものによって煽られた経済政策の淵源とその本質も自ずから明らかになってくるはずである。
この作業を通じて、安倍政権を継承すると自認もし、公言もして憚らない菅義偉政権下の「成長戦略」なるもの、そして続く岸田文雄政権の「新しい資本主義」を旗印にした「成長と分配の好循環」なるものが果たして如何なるものかが、近現代史のグローバルな視野からも明確に位置づけられ、その本質も自ずと明瞭になってくるであろう。それだけではなく、実は、19世紀未来社会論に対峙し、21世紀の未来社会論を深めていく上でも、それは避けてはならない大切な作業の一つになってくるはずだ。
続きを読む








