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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第13章(その2)

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第13章
「菜園家族的平和主義」の構築(その2)
 
―いのちの思想を現実の世界へ―

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第13章(その2)
(PDF:620KB、A4用紙8枚分)

夏の銀河 trim3

どんな理由があろうとも
戦争には決して組しない。
これが
あまりにも凄惨な犠牲の末に
やっと辿り着いた
私たちの結論であり
未来への希望の光ではなかったのか。

3.非同盟・中立の自然循環型共生の暮らしと平和の国づくり

 嘆かわしいことに、今日の世界で起きている事態は、巨額の軍事費を費やし、最新の科学技術の粋を凝らしてつくり上げた、政・官・財・軍・学の巨大な国家的暴力機構から繰り出す超大国の恐るべき軍事力と、それにひきかえ、自己のいのちと他者のいのちを犠牲にすることによってしか、理不尽な抑圧と収奪に対する怒りを表し、解決する術を見出すことができないところにまで追い詰められた「弱者の暴力」との連鎖なのである。

地べたに伏す鹿(銅版画調・モノクロ)

 かつてガンジーが、インドの多くの民衆とともに「弱者」の側から示した精神の高みからすれば、大国の圧倒的に強大な軍事力、すなわち暴力によって「弱者の暴力」を制圧、殲滅し、暴力の連鎖をとどめようとすることが、いかに愚かで恥ずべきことなのかをまず自覚すべきである。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第13章(その1)

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第13章
「菜園家族的平和主義」の構築(その1)
 
―いのちの思想を現実の世界へ―

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第13章(その1)
(PDF:734KB、A4用紙12枚分)

”原爆を許すまじ”

ー 孤立や差別に苦しむ被害者に、そして
日本と世界のひしがれしすべての人々に
考え、行動する勇気を与えつづけた歌 ー

雲から顔を覗かせる太陽(銅版画調・カラー)

 核兵器の非人道性を語り継ぎ、核廃絶の必要性を唱えてきた原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が、昨年12月10日、ノーベル平和賞を受賞した。
ノルウェーのオスロ市庁舎での授賞式で代表委員の田中煕巳さん(92)は、講演に立った。渡航の2週間ほど前から体調を崩し、強い圧迫感を感じながら原稿を書き上げた。
「核兵器の保有で戦争を抑止できると信じる人々がいる今の世界に、限りないくやしさと憤りを覚えます」と投げかけた。
そして、ご自身の人生について語りはじめた。
「私は長崎原爆の被害者の一人です」
中学一年生だった1945年8月9日、長崎の自宅で原爆に遭った。母と兄、妹の4人と暮らしていた。
みな無事だった一方、爆心近くに住む親族は違った。
「一発の原子爆弾は私の身内5人を無残な姿に変え一挙に命を奪った」
祖父は骨が見えるほど全身に大やけどを負い伯母やいとこは炭のように真っ黒になって転がっていた。
「たとえ戦争といえどもこんな殺し方、傷つけ方をしてはいけない」
 生き残った被害者たちの苦悩は続いた身体に残る大やけどの痕、放射線の影響による健康不良、愛する人を失った悲しみ、、、。田中さんの通う学校には、髪の抜けた頭を布で隠して通学する女子学生が、突然亡くなる同級生がいた。
「占領軍に沈黙を強いられ、さらに日本政府からも見放され、被爆後の十年余を孤独と病苦と生活苦、偏見と差別に耐え続けました」
 ビキニ環礁での米国の水爆実験に日本のマグロ漁船「第五福竜丸」の船員が被曝し揺れ動いた70年前、浅田石二作詞“原爆を許すまじ”が反核運動を奮い立たせる。広島・長崎の被爆者は悲しみと怒りを胸に歌い、人々も口ずさんで全国へ広がっていった。

故郷の街やかれ
身より骨埋めし焼け土の
今は白い花咲く
ああ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの街に~

 その2年後、1956年に日本被団協が結成された。
 孤立や差別に苦しむ被爆者が団結し、核廃絶を訴える声を一つにするのを支える。ノーベル平和賞の授賞式に臨んだ田中煕巳さんも「団歌といってもいい」と感謝する。
 待望の受賞が薄れゆく戦時の記憶を呼び覚まし、日本そして世界中で考え、行動する契機になればと願う。戦後80年へと伝えたい。
「いつの時代も、戦争による死者のことが忘れられた時に新しい戦争が始まる」と。

――― ◇ ◇ ―――

人間の頭(銅版画調・カラー)

人は誰しも
決して避けることのできない
死という宿命を背負いながらも
懸命に生きている。
 そもそも人間とは
 不憫としか言いようのない
 不確かな存在ではなかったのか。
だからこそなおのこと
 人は
 同じ悲哀を共有する同胞(きょうだい)として
 せめても他者に
 とことん寛容でありたいと
 願うのである。

今や常態化した
権力者による
「マッチポンプ」式の卑劣な応酬。
 だが、これだけは決して忘れてはならない
 戦争とは、結局、どんな理由があろうとも
 民衆に
 民衆同士の殺し合いを強いる
 国家権力による
 極悪非道の最大の犯罪そのものなのだ。

1.いのち軽視、いのち侮辱の「戦争俗論」の跳梁跋扈を憂える
 ―卑劣な企み「マッチポンプ」の繰り返し―

立ち上がって警戒するウサギ(銅版画調・モノクロ)

憎しみと暴力の坩堝(るつぼ)と化した世界 ―世界の構造的不条理への反旗
 今から11年前の2013年1月16日、はるか地の果てアルジェリアのサハラ砂漠の天然ガス施設で突如発生した人質事件は、わずか数日のうちに、先進資本主義大国および現地政府軍の強引な武力制圧によって、凄惨な結末に終わった。

 こうした中、同年1月28日、安倍晋三首相(当時)は、衆参両院の本会議で第二次安倍内閣発足後、初めての所信表明演説を行った。
 演説の冒頭、アルジェリア人質事件に触れ、「世界の最前線で活躍する、何の罪もない日本人が犠牲となったことは、痛恨の極みだ」と強調。「卑劣なテロ行為は、決して許されるものではなく、断固として非難する」とし、「国際社会と連携し、テロと闘い続ける」と声高に叫び胸を張った。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第12章(その2)

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第12章
 「菜園家族」を土台に築く近代超克の先進福祉大国(その2)
 
―高次の新たな社会保障制度の探究―

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第12章(その2)
(PDF:713KB、A4用紙13枚分)

花束

4.近代超克の円熟した先進福祉大国への可能性

 社会保障の財源としての税については、これまた社会のあり方やその性格が変われば、当然のことながら変化していく。
 税は「富の再分配」の装置でもある。支配的な「富の財源」が土地であれば地租が、そして資本主義工業社会であれば、第一次産業や企業での生産労働、そして企業の営業活動が「富の源泉」となり、所得税、法人税が税収の主要部分を占める。そして消費が社会の全面に現れてくると、消費税が注目されてくる。さらに「ストック」が顕在化してくると、環境ないしは自然という究極の「富の源泉」に目が向けられてくる。固定資産税や環境税である。

フクロウ

 このように考えてくると、賃金労働者と生産手段(自足限度の小農地、生産用具、家屋など)との「再結合」によって創出される、「労」「農」人格一体融合の新たな人間の社会的生存形態「菜園家族」を基調とするCFP複合社会においては、税制のあり方は、この社会の客観的性格および目指すべき理念に基づいて、「干からびた細胞」同然の現代賃金労働者(サラリーマン)家族を基盤に成り立つ資本主義社会とは、根本的に違ってくるのは当然であろう。
 CFP複合社会の資本主義セクターC内の企業への合理的かつ適切な課税、企業の莫大な内部留保への課税強化、株式・金融取引への大幅な累進課税等々によって、財源は飛躍的に強化・改善されていくであろう。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第12章(その1)

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第12章
 「菜園家族」を土台に築く近代超克の先進福祉大国(その1)
 
―高次の新たな社会保障制度の探究―

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第12章(その1)
(PDF:638KB、A4用紙9枚分)

羽ばたく女性像(銅版画調・モノクロ)

 本来、社会保障制度は社会的弱者に対してこそ、しっかりとした支えになるべきであるのに、わが国の現状はそうはなっていない。その実態は、あまりにも無慈悲で冷酷である。
 しかも現行の制度は、不完全な上に、とりわけ年金、医療、介護、育児、教育は、なぜか財政破綻に瀕している。安心して生涯を全うできないのではないかという将来不安や不満が、常に国民の中に渦巻いている。
 そもそも社会保障制度とは原理的に一体何であり、どうあるべきなのか。そもそも論から考えるためにも、大切なことなので、まずこのことをおさえることからはじめたい。

1.原理レベルから考える「自助、共助、公助」

 今日私たちは残念ながら、人類が自然権の承認から出発し、数世紀にわたって鋭意かちとってきた、1848年のフランスにおける2月革命に象徴される理念、自由・平等・友愛の精神からは、はるかに遠いところにまで後退したと言わざるをえない。

十字架を持った怪鳥(銅版画調・モノクロ)

 不思議なことに、近年、特に為政者サイドからは、「自立と共生」とか、「自助、共助、公助」という言葉がとみに使われるようになってきた。
 「自立と共生」とは、人類が長きにわたる苦難の歴史の末に到達した、重くて崇高な理念である自由・平等・友愛から導き出される概念であり、その凝縮され、集約された表現であると言ってもいい。
 それは、人類の崇高な目標であるとともに、突き詰めていけば、そこには「個」と「共生」という二律背反のジレンマが常に内在していることに気づく。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第11章

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第11章
 「菜園家族」の台頭と資本の自然遡行的分散過程
 
―新たな科学技術体系の生成・進化の可能性―

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第11章
(PDF:677KB、A4用紙15枚分)

水色の逆三角形・青い線の幾何学模様

1.資本の自己増殖運動と麻痺する原初的「共感能力」(慈しむ心)
 ―人間欲望の際限なき拡大と科学技術の暴走―

 “生命系の未来社会論”具現化の道である「菜園家族」社会構想による日本社会は、結局、縮小再生産へと向かい、じり貧状態へと陥っていくのではないか、という危惧の念を一般に抱きがちであるが、果たしてそうなのであろうか。
 ここではこの危惧と、生命史上稀に見る、人類始原の自然状態以来の人間特有の感性とも言うべき原初的「共感能力」(慈しむ心)の問題を念頭に置きながら、話を進めていきたい。

キツネ

 戦後わが国は、科学技術という知的資産を最大限に活用して産業を発展させ、高い経済成長をもって国際経済への寄与を果たすとする、「科学技術立国」なるものをめざしてきたし、これからもめざそうとしている。しかし、はたして私たちは、これを手放しで喜ぶことができるのであろうか。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第10章(その2)

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第10章
 気候変動とパンデミックの時代を生きる (その2)
 
―避けては通れない社会システムの根源的大転換―

――CO排出量削減の営為が即、
  古い社会(資本主義)自体の胎内で
  次代の新しい芽(「菜園家族」)の創出・育成へと
  自動的に連動する
  CSSK社会メカニズムの提起――

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第10章(その2)
(PDF:653KB、A4用紙12枚分)

天文台と北天の星の軌跡(上部をトリミング)
天文台と北天の星の軌跡

5.CSSK特定財源による彩り豊かな国土と民衆の生活世界の再建

CSSK特定財源による人間本位の新たなる公共的事業と地域再生
 道路やハコモノなどといわれてきた従来型の大型公共事業への財政支出では、工事執行の限られた期間だけにしか雇用を生み出すことができない。工事が終了すれば、基本的には道路やダムやトンネルなどといった大型建造物は公共財として残るものの、雇用は即、喪失してしまう。
 したがって、国・地方自治体や企業は、新たな需要を求め、また、失われた雇用を維持確保するためにも、さらなる大型公共事業を、現実の社会的必要性を度外視してでも、繰り返し続けなければならないという悪循環に陥る。
 当初はそれなりに時代の要請に応えて行われてきたかつての大型公共事業が、莫大な財政赤字を累積し、国民からしばしば「ムダ」と汚職の温床と批判され、次第に精彩を失っていったのは、こうした事情による。

 このような従来型の大型公共事業に対して、本連載の第10章4節で触れたCSSK特定財源による、CO排出量削減と「菜園家族」創出・育成のために恒常的に投資される新しいタイプの「公共的事業」であれば、事情は一変する。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第10章(その1)

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

人間の目(銅版画調・カラー)

 本年2024年11月24日に閉幕した国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)では、途上国の脱炭素対策や被害への対応をする「気候資金」の拡大について、交渉が難航した。
 先進国の拠出額をめぐっては、先進国と途上国が激しく対立。会期を延長して合意にこぎ着けたが、途上国には目標額への根深い不満が残る形となった。

 そもそも今回の会議は、近年のCOPに比べ、序盤から勢いを欠いていた。ブラジルでの主要20ヵ国、地域首脳会議(G20サミット)と日程が重なり、英仏など多くの首脳が不参加だった。

 それでもCOP29の会期中には、脱炭素に向けた決意が相次いで表明された。米国内で気候変動対策を進める約5,000の自治体や企業などからなる「America Is All In」は、会場内でイベントを開催。脱炭素をトランプ政権下でも進める姿勢を強調した。環境NGOは会見で、「トランプ氏再選は言い訳にはならない」と釘を刺した。

 こうした中、次の温室効果ガス削減計画などを検討中の日本政府の姿勢が問われている。日本では、次の削減目標とその裏付けとなるエネルギー基本計画の議論が山場を迎える。政府内には「トランプ氏の世界への影響を見極めたい」との声がある。日本としてまずどうするのか、その主体性が問われているのではないか。

 そもそも地球温暖化は、食料や水の不足、災害の激甚化、感染症の増加をもたらす。影響を抑えるには、産業革命前からの気温上昇を1.5℃までにとどめる必要があり、そのためには2025年までに温室効果ガスの排出量を減少に転じさせ、2035年には2019年比で60%減らさなければならないとされている。

 私たち自身の問題として、私たちは今、具体的に何をなすべきなのか。この第10章では、一刻の猶予も許されないこの地球温暖化を根源的かつ包括的に捉える立場から、残された実現可能な一つの提案を再度しておきたいと思う。議論を諦めず続けていくためにも、一つの素材としていただければ幸いである。

第10章
 気候変動とパンデミックの時代を生きる (その1)
 
―避けては通れない社会システムの根源的大転換―

――CO排出量削減の営為が即、
  古い社会(資本主義)自体の胎内で
  次代の新しい芽(「菜園家族」)の創出・育成へと
  自動的に連動する
  CSSK社会メカニズムの提起――

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第10章(その1)
(PDF:648KB、A4用紙15枚分)

へび座 散光星雲(横に細長くトリミング)

環境活動家17歳の少女
グレタ・トゥーンベリさんの
涙ながらの訴え。
あの清新の気は
私たち大人からは
もうとうに消え失せてしまったのであろうか。

1.気候変動とパンデミック、そしてウクライナ戦争は、果たして人間社会の進化にとってまことの試練となり得るのか

 今、世界の人々は、新型コロナウイルス・パンデミックの脅威と地球温暖化による気候変動、さらにはウクライナ戦争がもたらす人類破局の事態に直面し、この複合危機回避の重い課題を背負わされている。

黒い羊

 大量生産・大量浪費・大量廃棄に基づく市場原理至上主義「拡大経済」は、今や行き着くところまで行き着いた。消費拡大による「景気の好循環」の創出は、結局、資源の有限性・地球環境保全とのジレンマに陥らざるをえない矛盾を孕んでいる。今こそ、大地に根ざした素朴で精神性豊かな自然循環型共生社会(じねん社会としてのFP複合社会)への転換が切実に求められる所以である。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第9章

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第四部 民衆主体の具体的政策
―「いのち輝く共生の大地」をめざして―

第9章
「菜園家族」社会構想の現実世界への具体的アプローチ
 
―実現可能性を探る―

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第9章
(PDF:696KB、A4用紙18枚分)

2024.9.4空と雲trim

1.地域再生の究極の鍵

まずは、農村・農業の現実を直視することから
 「菜園家族」は、単独で孤立しては生きていけない。「菜園家族」を育む地域協同の場が不可欠である。「菜園家族」の集落の形成過程を考える時、さまざまなケースが浮かんでくる。

野菜畑で農作業する夫婦(モノクロ)

 初期の段階では、農業技術の蓄積があり、その上、農地も家屋もあるといったように、あらゆる面で一番条件が備わっている従来の兼業農家が、おそらくいち早く脱皮して、週休(2+α)日制のワークシェアリング(但し1≦α≦4)による「菜園家族」に移行していくにちがいない。
 そして、この農業技術や経験の豊かな「菜園家族」や中規模専業農家の近隣に、都市から移住してきた新参の若者や家族が住居を構え、これら先輩家族から営農や農業技術のこまごまとした指導を授かり、支援を受け、相互に協力し合いながら、自らも本格的な「菜園家族」に育っていくことになるであろう。

 やがて「菜園家族」は、数家族、あるいは十数家族が集落を形成し、新しい地域協同体を徐々に築きあげていくことになる。こうして森と海を結ぶ流域地域圏(エリア)の上流域の山あいから平野部の川筋に沿って、「菜園家族」の美しい田園風景がくり広げられていくことであろう。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第8章

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第三部 生命系の未来社会論 具現化の道
―究極の高次自然社会への過程―

第8章
 「匠商家族」と地方中核都市の形成
―都市と農村の共進化―

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第8章
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北欧地域の俯瞰地図

1.非農業基盤の家族小経営 ―「匠商(しょうしょう)家族」

 ここであらためて確認しておきたいことがある。これまで一般的に「菜園家族」という時、狭義の意味では、週のうち(2+α)日(但し1≦α≦4)は、家族とともに農業基盤である「菜園」の仕事に携わり、残りの(5-α)日はCFP複合社会の資本主義セクターC、または公共セクターPのいずれかの職場に勤務して、応分の現金収入を得ることによって自己補完する形態での家族小経営を指してきた。

 そして、広義の意味では、狭義のこの「菜園家族」に加え、非農業部門(工業・製造業や商業・流通・サービスなどの第二次・第三次産業)を基盤とする自己の家族小経営に週(2+α)日携わり、残りの(5-α)日を資本主義セクターC、または公共セクターPのいずれかの職場に勤務するか、あるいは自己の「菜園」に携わることによって自己補完する家族小経営も含めて、これらを総称して「菜園家族」と呼んできた。
 ここでは、後者の家族小経営を、狭義の「菜園家族」と区別する必要がある場合に限って、「匠商(しょうしょう)家族」と呼ぶことにする。

非農業基盤の家族小経営の事例
 そこで、「匠商家族」とその「なりわいとも」について述べていきたいのであるが、その前に、一般的に言って、非農業基盤に成立する従来の家族小経営にはどんなものがあるのか、思いつくままに若干、例示しておきたい。

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長編連載「いのち輝く共生の大地―私たちがめざす未来社会―」第7章

長編連載
いのち輝く共生の大地
―私たちがめざす未来社会―

第三部 生命系の未来社会論 具現化の道
―究極の高次自然社会への過程―

第7章
 「菜園家族の世界」
―記憶に甦る原風景から未来へ―

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長編連載「いのち輝く共生の大地」
第7章
(PDF:661KB、A4用紙15枚分)

2021.10.27山里の柿の木trim

 甦る大地の記憶
  心ひたす未来への予感

 この長編連載では、21世紀“生命系の未来社会論”具現化の道である「菜園家族」社会構想を深め、考えていくのであるが、この章では、一旦、概念と論理のみで展開する抽象レベルの叙述を避け、まずは、記憶に甦る原風景から、「菜園家族の世界」の原形を身近にイメージできる「具体的世界」に描くことからはじめよう。

 ところで、画家・原田泰治の“ふるさとの風景”は、現代絵画であると言われている。日本からは、もうとっくに失われてしまった過去の風景でありながら、そこには現代性が認められるという。
 たしかな鳥の目で捉えるふるさとの風景の構図。しかも、心あたたかい虫の目で細部を描く、彩り豊かな原田の絵画の世界には、きまって大人と子どもが一緒にいる。大人は何か仕事をし、子どもたちはそのそばで何かをしている。
 人間の息づかいや家族の温もりが、ひしひしとこちらにむかって伝わってくる。込みあげてくる熱いものを感ぜずにはおられない“心の原風景”が、そこにはあるからであろう。
 21世紀をむかえた今、子どもと家族の復権を無言のうちに訴えかけてくる。

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