連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第3章1節
新企画連載
希望の明日へ
―個別具体の中のリアルな真実―
第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
―森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)再生への道―
グローバル経済が席捲する今こそ、これに対抗する包括的な地域研究の確立と地域実践が求められています。「菜園家族」を育むゆりかごとなる、森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)。衰退のどん底から、反転、再生を考えるとき、「菜園家族」構想の基本理念に沿って、どのような地域の未来が描けるでしょうか。
本章ではその再生への道を探るべく、1つの典型的な地域モデルとして、滋賀県の犬上川・芹川流域地域圏(エリア)(彦根市、犬上郡多賀町・甲良町・豊郷町の一市三町)を取り上げ、考えていきましょう。
森と湖(うみ)を結ぶこの流域地域圏(エリア)は琵琶湖の東側に位置し、湖畔から湖東平野を経て鈴鹿山脈の広大な森林地帯までがその地理的範囲です(図3-1)。東西28km、南北19km、面積は256㎢あります。
ここでは、この流域地域圏(エリア)を、とくに土地利用の視点から自然・社会・経済・文化・歴史の諸条件を考慮して、田園地帯、森林地帯、市街地と大きく3つに区分。それぞれのおかれている現状を直視するとともに、その地域再生の基本方向を考えていくことにします。
1 中規模専業農家と「菜園家族」による田園地帯の再生
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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」
第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
1 中規模専業農家と「菜園家族」による田園地帯の再生
(PDF:447KB、A4用紙7枚分)
農業規模拡大化路線の限界
犬上川・芹川流域地域圏(エリア)の主たる田園地帯としては、まず、彦根市の犬上川以南に広がる広大な平野部が挙げられます。加えて、甲良町の総面積の87%、豊郷町の総面積のほぼ全域が、主要な田園地帯に含まれます。