“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の要諦再読―その12―
“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の
◆要諦再読◆ ―その12
―
「家族」と「地域」の再生を探る
―生命本位史観に立脚―
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要諦再読 ―その12―
“「家族」と「地域」の再生を探る”
(PDF:547KB、A4用紙8枚分)
いのちの再生産とモノの再生産の「2つの輪」が重なる家族が消えた
かつては、いのちの再生産の輪と、モノの再生産の輪が、2つとも家族という場において重なっていた。それゆえ家族は、大地をめぐる自然との物質代謝・物質循環のリズムに合わせて、時間の流れに身をゆだね、ゆったりと暮らしていた。
ところが、世界史的には18世紀のイギリス産業革命以降、社会の分業化が急速にすすむ中で、不可分一体のものとして存在していた「農業」と「工業」は分離し、まずは「工業」が、次いで「農業」も家族の外へと追い出されていく。その結果、家族という場において、いのちの再生産とモノの再生産の「2つの輪」が重なる部分はますます小さくなってしまった。
戦後日本の高度経済成長は、こうした傾向にいよいよ拍車をかけ、その極限にまで追いやっていった。それゆえ今日の家族は、生きるために必要な食料はもとより、育児・教育、介護・医療・保険等に至るすべてを、家の外で稼いだ賃金で賄わなければならなくなった。このことは同時に、人間が自然から乖離し、無機質で人工的な世界の中で家族がまるごと市場に組み込まれ、熾烈な競争にもろに晒(さら)されることを意味している。
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