近代超克への構想 ―「菜園家族」基調の自然循環型共生社会への道―

去る2014年9月20日(土)・21日(日)に大阪府立大学において、環境思想・教育研究会 第2回研究大会が開催され、大会第2日目には、当里山研究庵Nomadから、小貫がフォーラム「将来社会を〈農〉と環境から構想する」で報告し、伊藤が一般研究発表で報告しました。

この時の報告レジュメに大幅加筆し、このたびあらためて小論 “ 静かなるレボリューション 近代超克への構想 ―「菜園家族」基調の自然循環型共生社会への道― ” (小貫雅男・伊藤恵子、2014年11月16日)としてまとめました。ご一読ください。

◆ こちらから全文のダウンロードができます。
“ 近代超克への構想 ―「菜園家族」基調の自然循環型共生社会への道― ”
(PDF:734KB、A4用紙13枚分)

なお、目次は下記の通りです。

― 目 次 ―

はじめに ― 今なぜ近代の超克なのか
あらためてアルジェリア人質事件を思い起こす
果たして私たちの暮らし方、社会経済のあり方はこれでいいのか
迫られるパラダイムの転換 ― 大地への回帰
世界を揺るがす暴力の連鎖、それをどう断ち切るか
戦争を生まない、心豊かな「くに」 ―「菜園家族」的平和主義をめざして

Ⅰ ここであらためて私たち自身の現実を簡潔に確認しておきたい

Ⅱ 「菜園家族」構想の問題意識と要諦
私たちの生きている現代社会は、多重・重層的な階層構造を成している
近代経済学の致命的な弱点
19世紀マルクスの思想と理論の到達点、その未来社会論の限界
パラダイムの転換を阻む今日の分厚い思想的土壌、まずはこのことの自覚から
迫られる未来社会論の再構築

Ⅲ 21世紀の未来社会論に欠かせない「地域研究」の理念と方法
1)今あらためて根源的に考える ―「家族」とは一体何なのか
2)「新しい地域研究」の必要性 ―21世紀未来社会論構築のために
ここで言う「地域」とは何か
21世紀未来社会を展望する「新しい地域研究」
総合科学としての「新しい地域研究」が21世紀の未来社会論を切り拓く

Ⅳ 近代を超克する「菜園家族」基調の自然循環型共生社会への道(B型発展の道)
伝統的な“森と海を結ぶ流域地域圏”の衰退、それがもたらしたもの
修復不能に陥った深刻な矛盾
今や小手先の対症療法ではどうにもならない
「菜園家族」の創出は近代超克の究極の槓杆である

1 近代超克の「菜園家族」構想、その前提となるいくつかの定義、基礎的概念

2「菜園家族」基調の自然循環型共生社会への具体的展開
1)現代賃金労働者と生産手段(最小限度の農地・生産用具など)との「再結合」
~自然と風土に根ざした「菜園家族」の創出と「地域」の再生~
2)「菜園家族」を育むゆりかごとしての“森と海を結ぶ流域循環型地域圏”の形成
3)「菜園家族」・「匠商家族」基調のCFP複合社会とその展開過程
~資本主義セクターC(Capitalism)、家族小経営セクターF(Family)、公共的セクターP(Public)~
4)CFP複合社会の生成・発展に果たす地方自治体の役割
5)原発のない低炭素社会へ導く新たな仕組みCSSKメカニズムの創設
6)「菜園家族」構想を資本の自己増殖運動の側面から考える ~21世紀を長期展望のもとに~

むすびにかえて
1)いのちの思想を現実の世界へ ― 私たちはあまりにも自然の流れから逆行している
2)混迷の時代だからこそ見失ってはならない未来社会への展望、そこへ到達する具体的道筋の探求
3)いま私たちにもっとも欠けているものは
4)近代を超克する21世紀の草の根未来社会論 ― 混沌から調和へ

環境思想・教育研究会は、2005年に当時東京農工大学大学院教授であった尾関周二先生(現 同大学名誉教授)の研究室を拠点に発足した研究会です。詳しくは、
環境思想・教育研究会ホームページ http://environmentalthought.org/ をご覧ください。
今回の研究大会全体についての情報(プログラム・各報告の要旨など)も、上記ホームページに掲載されています。